春爛漫7

ある晴れた日。
桜も満開を迎え、風に揺られ花弁が空を舞い、人々を魅了する頃。
総司と、彼にとっての桜の精であるセイの祝言が行われた。
共に新選組だった二人の祝言は、隊の誰もが祝い、誰もが歓喜した。

「……お前は嫁入りした後もどうしてそこから入る…小猿…」
土方は呆れたように庭を見つめ、呟いた。相変わらずぴょこりと一つに束ねられた髪が草叢の間から跳ねる。
「だって、総司様、こうでもしないと屯所に入れてくれないんです!」
「…相変わらず若衆姿のままで…」
「流石に二本は差してませんよ!一応護身の為に短刀は懐に持ってますけど」
「いっそ、ここに来るなら、脇差くらい持て」
「え!副長公認で来てもいいんですか!?」
「土方さーん!」
「やばっ!」
聞こえてくる亭主の声に、嫁は慌てて姿を隠す。
「またセイがいないんですー!」
聞こえてくる声に、土方は溜息を吐き、そして苦笑した。

本当にこの夫婦はいつまでたっても…。

そう思いながらも、優しい時間が続く変わらない毎日に目を細めた。

2011.12.18