「沖田先生…」
「もう!神谷さんったら。貴女ももう沖田ですよ。誰のお嫁さんになったんですか?ん?」
「お…そ…総司さん…です…」
「よくできました」
「それなら…そ、総司さんだって神谷さんって!」
「か…せ…セイ……さん?」
「……」
「…セイ?」
「っ!はいっ!総司さんっ!」
「幸せ過ぎますっ」
「そんな…///」
「だって、私今までに数えるくらいしか『セイ』って呼んだ事なかったんですよ?」「そうですね。私もずっと沖田先生でしたし」
「これからは毎日ですね。セイ」
「よ、よろしいんですか?総司様じゃなくて…」
「様もいいんですけどね。総司さんって言う貴女の声の響きが好きなんです」「っ!」
「…呼んでくれないんですか?セイ?」
「…総司…さん…」
「きゅんってしますっ!あ、でもね…」
「?」
「夜は先生って呼ばれるのも好きかなぁ」
「…?」
「気づいてないんですか?」
「……!」
「なっ、何をっ…」
「ちょっとだけ掠れた感じですごく色っぽいですよ」
ばしっ、と総司の肩を背後から叩いたセイが耳まで真っ赤にして離れていく。
ふっ、と口元に笑みを浮かべたまま、総司は柱に寄りかかって足を伸ばした。
小さな庭先を眺めて手にした団扇を遊ぶ。
「……不思議ですよね。呼び方ひとつで名を呼び呼ばれる事でこんなに心が揺さぶられるなんて、同じ武士であった時には思いませんでしたよ」
「…総司さん…」
「…それでも貴女に名を呼ばれるのは今も昔も幸せだなぁ」
「まだお昼っ!沖田先生っ」
「夫婦の睦は慣れませんか?」
「もう…。セイの中には、清三郎もまだ生きてるんです。そのままでいいっていってくださったじゃありませんか」
「ははっ。そうですね。清三郎は、私が心を預けて共に走れる相手ですよ」
「じゃあ、セイはどうですか?」
「セイは、私が命をかけて守る人です」
「私は今もいざという時は沖田先生をお守りする覚悟です!」
「……」
「でも、…セイの心だけは喜んでも良いですか?総司さんに守られる女子であることを喜んでも良いですか?」
「…全くもう。当然でしょ。清三郎もセイもただ貴女と共にずっと生きていきたいんです」
ふっと、視線をはずした総司の横顔をじっと見つめる。
形のよい耳から顎にかけての線。遠くを見ている目に突き動かされてセイは総司の傍へと近づいた。
「ん?どうしました?」
「…いいえ」
どこかへ行ってしまわないように。
その目の中に、いつでも映っていたかった。
「…総司さん」
「どうしました?」
「‥…」
「…初めてですね。貴女から口付けするの」
「…私は総司さんのお傍にいられるから生きていけるんです。総司さんに出会った日からずっと…だから…」
「…ずっと傍にいてくださいね。こうやって貴女の命の温もりを分け与えてください」
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ツイッターで狐様にお遊びにお付き合い頂きました!
リレー小説です!
何処から何処までがるーしぇで何処から何処までが狐さんか分かるかしら?
お陰様で素敵な作品が出来上がりました!
ありがとうございましたvv
また是非遊んでやってくださいませねv
2016.09.24